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執筆者の写真水越朋/Tomo Mizukoshi

高浜運河沿緑地

品川の駅に降りると、降りた人と乗る人でホームは溢れかえった。大勢の人が各々に進む方向があり、流れが読めない。改札内は渦巻いている。

時間をかけながらもどうにか改札を出る。改札出て左にある映画館に行くつもりだけど、上映まではあと一時間あるので、久しぶりに右に曲がってみる。液晶画面がずらりと並ぶ近未来的な風景はドラミちゃんの映画を思い出す。ドラミちゃんがいるのは22世紀か23世紀だったか。なんだっけか。ドラミちゃんが暮らす未来の街並みが映るシーンが好きだった。天井の高い大きな通路を進む。


階段を降りて更にまっすぐ歩く。「お酒出してますよ〜」と居酒屋定員が3・4人並んで呼び込みをしている。そんな大声で言ってるからちょっと驚く。私の最寄駅も提供しているお店あるけど、ここの店員さんは皆堂々としている。


川に到着。高浜運河沿緑地というアーチ型の看板を見つけ、そこをくぐりまた歩き出す。梅雨入りして空は重たい灰色、パラパラと雨が降っているけれど、やっぱり水辺は落ち着く。人も少ないのでマスクを外す。

ベンチを見つけたので座ると早速大きな蚊が寄ってきた。少し前はいなかったのについに出てきてしまったか。蚊さえいなければ、最高なのに。見失った蚊に怯えながらもベンチで休む。


綺麗なビル、古びたマンション、いろんな風景が折り重なっている。不思議な雰囲気だ。川の向こうにある古いマンションの一階には昔ながらといった感じの、お店が小さな商店街のように並んでいる。シャッターの降りているお店も多いが、やっているお店もあるのだろうか。


決めなきゃいけないこと、人に連絡しなくてはいけないことをここ2週間ちかくずっと悩んで進められずにいて、何をしていてもいつもモヤモヤと重たいものが内側にある。川沿いの風に吹かれながら考えるけど、モヤモヤは霧のように身体中に広がり今日も掴めず。

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