水越朋/Tomo Mizukoshi2021年6月25日電車の虫電車に乗っていると、突然首の後ろがもぞもぞっとする。ヒェッと反射的に手で首を触ると、なにかに触れる。とっさに掴んだ手を覗き込むとエメラルドグリーンの綺麗な虫が収まっていた。 さっき目の前に座っているおじさんおばさん達が必死に振り払っていた虫だ。このまま電車にいると潰されるか...
水越朋/Tomo Mizukoshi2021年5月31日電車にて電車の座席に座り本を読んでいると、向かいに座っているおばさんが何か言ってることに気づき顔をあげる。 「お嬢ちゃん、お嬢ちゃん」 と、おばさんはついさっきまでわたしの隣に座っていた女の子に声をかけている。ランドセルと帽子をかぶった女の子は小学校低学年位に見える。次の駅で電車を...
水越朋/Tomo Mizukoshi2021年5月28日舞台久しぶりにリノリウムに寝転がり、照明の吊られた天井を見ている。 床に直で引かれたリノは少し硬く、その下にあるだろうコンクリートの気配を背中に感じる。 劇場の天井は黒く入り組んでいる。照明、蛍光灯、パイプ、スピーカー、大量のコード、、、劇場にいるなぁ。と思う。この景色は小屋入...
水越朋/Tomo Mizukoshi2021年5月27日隅田川の赤い実隅田川の川沿いを歩いている。 何か考えたかったり行き詰まったり、気晴らしに、元気な時もそうじゃない時も、わたしは川や海へ向かう。なにかと水辺に引き寄せられる。視界が広がり遠くまでよく見える空間と流れる水、吸い込まれて自分の中に大きなスペースができるように、気持ちが落ち着いて...
水越朋/Tomo Mizukoshi2021年5月26日鳩公園の空いているベンチを見つけ腰掛ける。 座ってから、排除アートと呼ばれるような仕切りのついたものではなく、広々と座れるものだったことに気づく。久々にこのベンチに座った。何にもぶつからずにゆったりと座れる。 座ると鳩がどこからともなく集まってきた。餌をもらい慣れていてこのベ...
水越朋/Tomo Mizukoshi2021年5月24日なにもない感覚の記憶日常のふとした瞬間にスペインで過ごしていた時のことをよく思い出す。ふとした瞬間に感覚があの頃とリンクして、記憶がよみがえってくる。 仕事で来ていた相模原駅から次の仕事先へ行くため、ホームへ降りる下りのエスカレーターに乗り運ばれていると、ホームのフェンス向こうから何もない青々...